既にご存知の方も多いと思いますが、先週6日(水)、無事退院致しました。

本当は、もっと早く書きたかったのですが、色々な事情もあり、また何より、退院が近づくに連れ、半端な状態で書いて色々な憶測を呼ぶよりは、ハッキリと目処が立ってから書く方が良いという思いが強くなり、これまで延び延びになりました。ご心配頂いていた方々には、この場を借りてお詫び申し上げます。

改めて、これまでの経過と現状を、ご報告致します。

10月19日(土)、36歳の誕生日に緊急入院、23日(水)一通りの検査結果が出て、病気は「慢性骨髄性白血病」に確定、他の病気の併発はなく、29日(火)最先端の特効薬治療を開始。考えられる中でも最良の経過を示し、1週間経っても一切の副作用はなく、数値的にも特効薬がしっかりと効いており、晴れて11月6日(水)退院の運びとなりました。帰宅後一週間経った現在も、いい意味で大きな変化はなく、とても順調です。

これから先の事につきましては、当面は2週間に一度の通院で定期的に検査を受け、徐々にその期間が長くなり、1ヶ月、3ヶ月、半年という具合になっていくそうです。

実は、11月1日(金)の検査結果を受け、主治医より「もし早く退院したければ、2日(土)の退院でもOK」と言われたのですが、自分としては管理してもらっている方が安心という事もあり、主治医に「より良いと思われる見解を」と伺ったところ、万全を期して6日(水)の退院という事となりました。

入院中は、初日から院内は自由に動き回ってよく、部屋は18階でしたが、必要以上の体力低下を避けるため、毎日地下1階のコンビニに買い物に行き(勿論エレベーターを利用)、2Lの水などを買うのを日課にしておりました。

また、2日(土)からは外出許可も下り、初日は数百mから始め、日ごとに散歩の距離を延ばして、退院前日には3km程歩きました。

体調も、入院初日から日常とほぼ変わりありませんでしたが、特に特効薬を始めてからは、より良くなっていった様に思います。もっともこれは、精神的なものも大きかったのかも知れません。

風呂も、入院中は一応シャワーのみにしておりましたが、骨髄検査の日以外、初日から毎日入り、1日(金)医師よりの見解を受け、他の方の迷惑にならぬ様、小声で息だけ強く、シャワーを浴びながら謡も謡っておりました。

余談ですが、18歳の頃、肝臓の病気で1ヶ月入院した時、「栄養を取るため、何でもどんどん食べなさい」と言われ、もりもり食べて5キロ太りました(^^;)。

今回も食事制限はなく、食欲はあったのですが、勿論当時とは比較にならず、丁度良い機会なので、暴食は避けて少しダイエット、病院食+1~2品とデザート1つくらいに止めたところ、3~4程キロ痩せました。といっても170cmで73キロ前後、まだまだ十分肉はありますので、ご心配なき様お願い致します(笑)。

規則正しく、3食を均等に食べるだけで痩せる、と聞いた事がありましたが、本当だったのだなあと実感しております。

そして問題の、11月30日(土)花影会「安宅」についてですが、これも実は1日(金)の時点で主治医のOKを頂いており、退院後すぐに稽古を始めて良い、但し初めは疲れ過ぎない様にとの事でした。

これはどちらかというと、病気や薬とは関係なく、19日間入院しての体力低下に対し、いきなり無理をしない様にという意味で、病気については薬でコントロール出来さえすれば、また副作用もなければ、基本的には全く普通の生活で良いとの事でした。

医師よりのOKが出た今、安宅が勤められるか否かは、自分の体力の回復具合に納得出来るかどうかが焦点となり、病気後を理由にパフォーマンスが落ちるくらいならば、当然辞退するつもりです。

しかしながら、先述の様に、その面も恐らくは大丈夫と思われ、現時点では8~9割方、勤められると思っております。

初めは9割方諦めたところからスタートしましたが、そのくらい、理想的な経過を辿っているとご理解頂けますれば幸いです。

今回私は、本当に目覚ましい医療の発達により、大きな問題もなく復帰出来そうです。
しかしながら、初めは、最悪余命半年も、一生能が舞えなくなるかもという覚悟も致しました。
そして、大丈夫と分かっていても、一生の病気を抱えた事も、また事実です。

誠に僭越な申し事ですが、家、流儀、業界の中で、自分の背負っている物の重さは重々感じており、長生きも責任だと思っております。

また誤解を恐れずに申しますと、いま私の現状、最も大きな問題は、病気発覚当初から、今でも、「安宅が勤められるか否か」ではありません。

体調、精神、状況、問題が、日々刻々と変化していく中で、誰よりも、自分自身が自分を大切に思っており、その存在意義も使命も大いに感じているからこそ、初めから誰よりも冷静に現状を受け止め、誰よりも病気と真剣に向き合っていると自負しております。

そんな中、皆様より頂戴した中でも、「頑張って」「応援しています」「祈ってます」「何かお手伝い出来る事があれば遠慮なく連絡を下さい」等の御言葉は、、本当に本当に有難かったです。

皆様の激励に、改めて感謝申し上げます。

安宅についても、今後の能楽師活動についても、最大限の努力はしますが、こうなった以上、無理は致しません。もし、例え前日でも医師のストップや、自身の身体に異変を感じれば、スッパリと諦める覚悟は出来ております。

今月は、安宅の稽古と体力・筋力回復の為のトレーニング、休養を繰り返し、日頃中々出来ない様な仕事、雑務を、ノンビリやっていこうと思っております。

今しばらくご心配・ご迷惑をおかけ致しますが、引き続き、応援の程、何卒宜しくお願い申し上げます。

最後に1つ、皆様にお願いがあります。
この様な状況で、入院中は花影会のチケット販売がほぼフリーズ状態でした。退院後、この数日でかなり動き始めましたが、まだ120~130枚程残っており、もし宜しければ是非1枚でもご協力頂きたく、何卒宜しくお願い申し上げます。(もし、突然の体調不良により勤められない場合は、どうか御許し下さい)

以上、勝手ばかりを申しますが、今後ともお見捨てなき様、何卒宜しくお願い申し上げますm(__)m